2021年06月28日更新

SDGsって何だろう?飲食店におけるSDGsへの取り組み事例と具体的アクション

昨今、TVやネット、SNS等で「SDGs」という言葉を見たり、聞いたりしたことがある人も多いと思いますが、実際にSDGsとは飲食店においてどんなことなことを意識したり、実際にどんな取り組みなのか事例を集めながら、解説していきます。これを機会にSDGsを知ることで、飲食店運営に活かしていただければと思います。

SDGsって何の略?

SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」とされています。最近よくテレビやネットなどでも「SDGs」や「持続可能な」というような言葉を見たり、聞いたりする機会が増えてきたと思いますが、どんな取り組みで、実際に飲食店でどんなことが行われているか事例を集めてみました。

そもそもSDGsってなに?

SDGsは、2015年9月の国連サミットで150を超える加盟国首脳の参加のもと、全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に掲げられた、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」のことです。

 

SDGsは、先進国・途上国すべての国を対象に、経済・社会・環境の3つの側面のバランスがとれた社会を目指す世界共通の目標として、17のゴールとその課題ごとに設定された169のターゲット(達成基準)から構成されます。

 

それらは、貧困や飢餓から環境問題、経済成長やジェンダーに至る広範な課題を網羅しており、豊かさを追求しながら地球環境を守り、そして「誰一人取り残さない」ことを強調し、人々が人間らしく暮らしていくための社会的基盤を2030年までに達成することが目標とされています。

 

具体的なSDGsのゴールとは?

SDGsで大きく提示されている17のゴールは以下になります。

 

1.貧困をなくそう

2.飢餓をゼロに

3.すべての人に健康と福祉を

4.質の高い教育をみんなに

5.ジェンダー平等を実現しよう

6.安全な水とトイレを世界中に

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに

8.働き外も経済成長も

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

10.人や国の不平等をなくそう

11.住み続けられるまちづくりを

12.つくる責任つかう責任

 

13.気候変動に具体的な対策を

14.海の豊かさを守ろう

15.陸の豊かさも守ろう

16.平和と公正をすべての人に

17.パートナーシップで目標を達成しよう

なぜSDGsの活動が必要なのかのか?

2030年には世界人口が85.5億人に

2030年、日本の総人口は2015年から800万人少ない1億1900万人となり、高齢化率は31.2%に上昇するとの推計があります。一方、世界の人口は、爆発的な増加を続け、2015年より11億7千万人多い85億5千万人に達する見込みです。

人口増加の影響で起こる経済、環境、社会の課題を解決

エネルギーや食料資源の需給がひっ迫するだけでなく、地球温暖化など世界規模での環境悪化が懸念されています。こうした中で、2030年に向けて、すべての人々が豊かで平和に暮らし続けられる社会をめざし「持続可能な開発目標(SDGs)」が国連サミットで採択されました。SDGsは、世界中の国が共通して解決しなければいけない経済、社会、環境の課題を17の目標で示しており、その達成には公的機関だけではなく、民間企業や市民の参加が不可欠です。

 

特に企業に対しては、ビジネス活動の一環として行う投資・イノベーションを通じて、社会課題を解決することが期待されています。

環境を犠牲にしたお店は「No!」と言われる時代へ

SDGsは若者ほど認知率が高く、最近では地球環境に配慮した商品やサービス活動を好んで購入する若者も増えており、これは食品メーカーや飲食店なども例外ではありません。

 

また、企業への投資にもSDGsへの取り組みがどの程度行われているのかなどを、投資家が評価するようになってきており、ただ利益が出ればいいということではなくなってきています。

 

つまり、逆に言えば、SDGsの取り組み理解した上で、お店でどのようなことができるかを考え、実際に行動に移すことで、より消費者に選ばれるお店創りができるということになります。

Z世代(15歳~25歳くらい)は社会課題に関心が高い

ちなみに1990年代後半から2012年頃に生まれた世代であるZ世代では、社会課題に関心の高い世代として注目が集まっています。彼らが社会課題に関心があるのは、生まれ育った時代背景が大きく影響していると言えるでしょう。

 

彼らは幼いころから地球温暖化による自然災害や異常気象といった地球規模での環境問題や、東日本大震災などによるエネルギー問題のあり方を問われるような出来事をニュースやSNSでで見てきたことで、学校教育などでも、これらの問題についてディスカッションをするような機会があり、大学等でも環境問題やジェンダーなどについて学ぶ機会があるということも影響していると思います。

実際に飲食店ができる具体的なアクションとは?

では実際に、飲食店でも取り組みができることはどんなことがあるのでしょうか。各17のゴールの中で特に飲食店と関係が深く、実際に取り組みとして行われていることを紹介していきたいと思います。

目標1.貧困をなくそうに対しての具体的なアクション

目標1の「貧困をなくそう」ですが、目標1には「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」というテーマのもとに、「2030年までに、現在1日1.25ドル(約135円)未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」など7つの指標が定められています。

 

貧困と聞くと、途上国などでの問題のように聞こえますが、実は日本も他人事ではありません。厚生労働省の19年国民生活基礎調査によると、日本の相対的貧困率(※1)は15.4%、子どもの貧困率は13.5%(18年時点)で、高い水準を記録しています。子どもは約7人に1人が貧困状態にあるということです。そのような子どもたちや貧困に苦しんでいる人たちを救うための取組みがすでに始まっています。

(※1)相対的貧困率とは、世帯の可処分所得(手取り)などをもとに子どもを含めた一人一人の所得を仮に計算し順番に並べたとき、中央値の半分(貧困線=18年調査では127万円)に満たない人の割合

身近な貧困者を救う「フードバンク」と「子ども食堂」で貢献

「フードバンク」とは、企業や家庭で余った食品を寄付することで、児童養護施設などの団体、高齢者やひとり親世帯など、その日の食事を満足に取ることが難しい方々へ、食料品を無償で提供する取り組みです。フードバンクの取り組みは、食品の廃棄を減らすことへの貢献になりますし、困っている人への提供による社会貢献にもなります。

 

また、「子ども食堂」は、様々な事業により、家庭で食事をすることが難しい子どもたちに料理の提供を行う取り組みです。日本には7人に1人の子どもが貧困状態にあると言われており、子ども食堂はそのような子どもを中心に、無料~300円程度の安価で食事を提供しています。飲食店で廃棄商品が毎日でるという事情もあり、それらを有効活用することで、子ども食堂に参加するという手もあります。

フェアトレード認証製品での世界の貧困解消に貢献

もうひとつ世界の貧困解消に関してのアプローチ方法としては、フェアトレード認証製品の活用をすることで貢献ができます。現在、海外で生産されている食材の内、特に珈琲やチョコレート、スパイスなどは、生産者に適切な賃金を支払うことができないほど低い価格で取引されています。日本で販売されているこれらの商品も同様で、適正価格を大幅に下回っているものがほとんどです。日本人にとっては安く手に入れられるために歓迎すべきことですが、産地では生産者に対して正当な賃金が支払われていないだけではなく、長時間労働や、生産性を上げるための体に有害な農薬の使用など、過酷な労働環境から脱出できないという状況が世界中で起こっています。フェアトレード認証製品はそれぞれの生産物を、正当な価格で売買することで、生産者の労働環境を守り、適正な賃金を支払っていることを保証した製品です。継続的にフェアトレード認証製品を利用することで、世界の貧困解消へ貢献することができます。

目標2.飢餓をゼロにに対しての具体的なアクション

目標2は「飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」と定められており、全17の目標の中でも飲食業との関連性がとても強いものです。この目標では世界中で飢餓をなくし、すべての人が栄養ある食事を十分にとれることを主な目的としています。

 

現在、UNICEF等の国際機関の発表では2020年時点で発表された「世界の食料安全保障と栄養の現状報告書」によると世界で6.9億人もの人が飢餓状態にあると推定しています。また、飢餓状態ではないものの健康的な食事をとる余裕のない人は30億人以上と推定されており、経済的に余裕がない人にとっては十分な量を確保できない事情もあるようです。

 

日本でも現在、厚生労働省の発表資料である「国民健康・栄養調査報告」の令和元年版では、健康な食習慣の妨げとなっている設問に対して、約5%の人が経済的に余裕がないことを理由に挙げています。

小さな取り組みから食品ロスをなくす

まず飲食店で話題に出るのが食品ロスです。農林水産省の2020年発表の「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」によると、国内では年間612万トンの食品ロスが発生しており、これは日本人一人当たり毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと同じ量です。この612万トンのうち、飲食店は約20%にあたる127万トンが外食産業から廃棄されたものです。

 

飲食店でもこの食品ロスを減らすために、作り置きの削減や、食べ残しの持ち帰り提案、食材の再利用等できることからコツコツと行っていくことが重要となります。

 

食品ロス削減に貢献する「フードシェアリングサービス」を利用

最近テレビなどでも紹介されているサービスとして「フードシェアリングサービス」というものがあります。このサービスは、まだ食べられる廃棄予定の食品を消費者のニーズとマッチングさせることで、無駄をなくした消費を促します。

 

予約のキャンセルや、煮崩れた魚など味や品質に問題はないけれど販売できなくなってしまった食品を、廃棄するのではなくフードシェアリングのWEBやアプリを利用して安価に消費者が手に入れるというものです。

 

上述したフードバンクと似ていますが、シェアリングの場合、消費者が直接店舗にとりに言ったり、店舗を利用したりするなどするため、配送料などがないため、消費者にとってもメリットの高いサービスと言えます。

 

目標5.ジェンダー平等を実現しように対しての具体的なアクション

男女だけではないジェンダー平等

ジェンダー平等の実現といっても、これは女性が活躍しやすい職場を作るということだけではありません。男女だけではなく、LGBT(※2)に代表されるセクシャルマイノリティの方も含めた、多様性を受け入れる社会を作るということを指しています。

 

(※2)LGBTはLesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダー)のイニシャルをとった単語。セクシャルマイノリティはこの4つに限らないが、男性・女性以外のジェンダーを持つ人の総称としてLGBTが使われることが多い。

 

具体的には、飲食店におけるお手洗いが挙げられます。男性用、女性用だけではなく、性別関係なく誰でも利用できるものを用意することで、セクシャルマイノリティの方も気兼ねなく利用できます。社員やアルバイトだけではなく、来店客に対する配慮にもなります。

 

目標12.つくる責任つかう責任に対しての具体的なアクション

プラスチック削減

上記に食品ロスの削減について書きましたが、「目標12.つくる責任つかう責任」に関しての取り組みで、プラスチック廃棄の影響を考える必要があります。実は日本の1人当たりのプラスチック廃棄量は、アメリカに次ぐ世界第2位です。(2014年時点。出典:国連環境計画「シングルユースプラスチック」2018年)プラスチックごみの問題として最近ニュースでも話題が出るのが、海洋被害です。海洋生物がマイクロプラスチックと言われる微小なプラスチックを飲み込んでしまい、それを食べる人間に健康被害が出るのではないかと、盛んに報道されています。

 

またプラスチックの製造過程で大量の二酸化炭素を排出するなどの問題も抱えており、地球温暖化などの悪影響を地球に与えます。

プラスチック袋の有料化と紙への移行

日本でも2020年7月よりコンビニやスーパーでプラスチック袋の有料化が始まっており、今後こうした袋や容器への配慮が当たり前になってくると思われます。

 

飲食店でもドリンク用のストローを紙製や、何度も使える鉄製のモノに変えたり、テイクアウトやデリバリーなどの容器をプラスチック容器から、紙の素材のモノに変えたりすることで、プラスチックの削減に貢献ができます。

地球にやさしいプラスチックも

紙以外にも最近では、環境にやさしい「バイオプラスチック」という選択肢もあります。こちらは植物などを原料としたプラスチックで、焼却処分時に排出される二酸化炭素は、原料となる植物が成長過程で吸収したもので、全体の二酸化炭素量に影響を与えないという特徴を持っています。こちらは自然界での分解が可能であるため、非常に注目されています。

 

さいごに

以上、SDGsへの取り組みとして飲食店でできることの例を上げさせていただきましたが、これはほんの一部で、さらに飲食店で働く皆さんが様々な活動をしていき、それをSNS等で発信していくことで、環境や社会に良い取り組みが広がっていくのではないかと思います。

 

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メニウくん編集部

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