株式会社アドバンス

東海エリアを中心に29店舗、海外ではグアムに2店舗を展開するラーメンチェーン「藤一番」。
同社は「どの世代にも愛される店」を掲げ、ラーメンの種類だけでも40種類以上と圧倒的なメニュー数と、ランチ時のロカボ麺無料変更など健康志向への対応で支持を広げている。
注文オペレーションの複雑化とピーク時の待ち時間という課題に対し、インパクトミライ社のセルフオーダーシステム「メニウくん」を導入。
結果として、注文待ちの解消、人件費削減、サイドメニューの伸長、そして現場主導の継続改善を実現した。
今回は営業部部長の藤田翔馬氏に、導入の狙いと効果、運用の工夫を伺った。

地域密着と圧倒的なメニュー数で“誰にでも愛される一杯”を。健康志向からハッピーアワーまで広がる魅力
藤一番は東海エリアを中心に展開する人気ラーメンチェーンだ。
「どの世代にも愛される店」を掲げ、地元に根ざした店舗運営を行っている。
同社最大の強みは、他店にない圧倒的なメニュー数だ。
ラーメンの種類だけでも、しょうゆ・塩・味噌・とんこつ・無化調スープから辛味のメニューまで40種類以上をラインアップ。
トッピングやセットメニュー、期間限定商品を含めると、その組み合わせは無数に広がる。
こうした“選ぶ楽しさ”が藤一番の差別化ポイントであり、リピーターを増やす原動力となっている。
人気メニューは、創業以来の定番である醤油ラーメンと、背脂を店内で丁寧に下処理した「藤豚ラーメン」。
こってりしながらもくどさがなく、若者からシニア層まで幅広く支持されている。
またランチタイムではロカボ麺への無料変更サービスを提供し、糖質を気にする層にも好評。
午後3時から夜10時まで続く「ハッピーアワー」では、190円台という手頃な価格でアルコールを提供し、4年以上継続している。
こうした企業努力が「老若男女に愛されるラーメン店」というブランドイメージを支えている。
複雑なランチ構成を“そのまま”再現できるシステムが決め手
導入前、藤一番ではスタッフがハンディを持って各卓で注文を受けていた。
席数の多い店舗では同時呼出しが重なり、待ち時間が発生。
加えて、麺種・トッピング・セット選択など、特にランチタイムの組み合わせが複雑で、オーダーミスや教育負荷も課題だった。
同社は複数システムを比較検討し、3〜4か月のコンペと実機検証を経て「メニウくん」を採用。
決め手は同社のランチサービスの多階層設計を、来店客にとって“わかりやすい画面構成”で忠実に表現できた点にあった。2023年夏ごろから準備を進め、テスト運用を経て本格導入に移行した。

“自分のペースで頼める”がサイドメニュー注文を押し上げ、客単価アップにも寄与
導入後は初めて来店したお客様でも迷うことなく操作できる直感的な画面設計により、スタッフを呼ばずに注文を完了できるようになった。
その結果、同時に複数卓から呼ばれて対応が遅れるといった混雑時のストレスが解消され、スタッフは提供や片付けといった業務に集中できるようになった。
人件費の削減効果も大きく、時間帯によってはホールスタッフを1名減らしてもスムーズな運営が可能になった。
特にアイドルタイムには、ホールスタッフが、清掃や備品整理などの環境整備に時間を充てられるようになったという。
さらに、着席後すぐに自身のペースで注文できることで、サイドメニューやドリンクの“ついで買い”が増加。頼みたいと感じた瞬間に追加注文できる気軽さが、客単価の上昇にもつながっている。

最大5階層を最短2階層へ。写真差替えや並び替えも現場で即日対応
当初は最大5階層だった画面遷移を、現場の声を反映して徹底的に最短化。
現在は「商品を押す→麺を選ぶ→トッピング→確定」という最短2階層相当まで整理し、体験を軽量化した。
写真差替えや導線最適化は店舗側でも実施可能で、新メニューの反映も迅速。
社内にはシステム運用に長けた担当者が育ち、現場主導のチューニングが自走している。

機械が苦手でも現場に混乱を起こさない段取り
導入フェーズはおおむね半年かかり、3、4ヶ月ほどかけて比較検証を進め、小牧インター店でテスト運用を開始した。
この期間中、注文階層や操作フローの細部まで検証を行い、実際のランチオペレーションに耐えうる設定を練り上げた。
テスト店舗で安定稼働を確認した後、他店舗へ順次横展開。
初期導入時には営業部長や店長、課長が現場に入り、初日からホールでお客様への説明を直接サポートした。
「スタッフもお客様も戸惑わない導入」を最優先に、現場の動線や接客の流れを止めずにシステムを定着させていった。
また、機械操作が苦手なスタッフにも十分な研修時間を確保し、営業時間外に実機を使ったハンズオン形式の練習を行い、操作手順を体で覚えてもらう仕組みを整えた。
結果として、導入初日からスムーズな稼働が実現し、顧客側の混乱もほとんどなかったという。

今後の期待は“同一商品×複数杯注文。伝票の可読性と厨房運用に配慮した実装を期待
現状の藤一番の仕様ではカスタマイズ要素(麺種・大盛・抜きなど)が絡むラーメンの“同一商品を2杯同時に追加”が難しい。
例えば「醤油ラーメン・ロカボ麺・大盛」を注文している最中に同伴者が同じものを希望した場合に、2杯注文することができないのである。
これを解決するには、厨房側の伝票の文字の判別ミスや配膳時の取り違えを防ぐ観点から慎重な設計が必要で、業界全体でも課題が残る。
同社は伝票の見やすさと運用負荷の両立を前提に将来的な改善に期待している。

チェーンの基盤力×UI最適化で、“待たせない満足”を標準装備に
藤一番は東海の地場で磨いた多彩なメニュー設計と、健康志向・価格訴求を両立する販促力を武器に、老若男女の支持を獲得してきた。
「メニウくん」の導入により、待ち時間の解消、人件費の適正化、サイドメニューの伸長、そして現場主導の継続改善が同時に進み、オペレーションの質は着実に向上。
“行けば必ず食べたいものが見つかる”というブランド体験に、“待たずに自分のペースで頼める”を重ねたことが、同社の競争力をさらに押し上げている。