株式会社タクミフードサービス様(愛媛)
『CoCo壱番屋』のフランチャイジーとして、愛媛と岡山で出店を続ける㈱タクミフードサービス。2014年に開発した同社初のオリジナルブランドが、昼は焼きたてパン食べ放題とパスタ、夜はしゃぶしゃぶ、焼肉の食べ放題を提供する二毛作業態『MOGAMI』だ。オーダービュッフェスタイルを採る同店で「メニウくん」を導入した理由や活用方法、そして効果について、代表取締役の曽我部卓志氏に聞いた。
愛媛を拠点とする㈱タクミフードサービスは、カレーチェーン『CoCo壱番屋』を愛媛、岡山で計13店のフランチャイズ展開する外食企業。
2014年7月には自社ブランド『MOGAMI』を立ち上げ、4年で6店まで出店数を伸ばしている。
『MOGAMI』は、昼は焼きたてのパン食べ放題とパスタを、夜はしゃぶしゃぶ、焼肉のオーダービュッフェで提供する二毛作業態。標準席数120〜170席の大箱店で、近隣に住むファミリー層を主客層に、全店ベースで平均月商1000〜1500万円を売る、ヒットブランドだ。
食べ放題店は提供時間が命
「オーダービュッフェ店でお客さまに求められることは、何よりも提供時間の早さです。そうなるとハンディでのオーダーでは、人員確保が必要ですし、忙しい時間はお客さまをお待たせするストレスを与えかねません。そこでセルフオーダーシステムの導入を考えました」と代表取締役の曽我部卓志氏。
そのなかで「メニウくん」を選んだ理由は「端末の薄さとスタイリッシュさ」という見ために加え、操作性がスムーズでメニュー写真の訴求力が高いことが決め手となった。
「飲食店専用の頑丈な設計である安心感があります。他社製品はイニシャルコストこそ安いですが、民生品タブレットを使うため故障も多い。
『メニウくん』は故障も少なく、修理費などのランニングコストが低いことが魅力ですね」。
作業軽減分をサービスに転化
『MOGAMI 松山空港通店』のホール人員配置は、平日5〜6人、休日7〜8人体制。ハンディを使った場合、プラス2人は必要な計算のため、人員削減に貢献している。実際、一般的な人件費率30%に対し、同店は24〜24・5%に着地。人件費率をこれ以上下げることもできるが、サービス力を高めるためにも、あえてそれは行っていない。というのも元々、セルフオーダーシステムを導入する目的の一つがサービス力の向上。オーダーテイクの作業がなくなることで、網交換、バッシングやお客さまとの会話など、お客さま満足度向上につながるサービスに転換でき、サービスの質を上げることが飲食店にとっては重要だと考えているためだ。
『MOGAMI 松山空港通店』店内。120席を有し、しゃぶしゃぶ用席と焼肉用席でエリアを分ける。
一方で一部テーブル席のみ、しゃぶしゃぶと焼肉両方に使えるフリー席にしている。
メニューに合わせ端末を色分け
オープン当初、メニューに焼肉食べ放題はなかったが、しゃぶしゃぶは季節変動商品。夏の集客力低下をカバーするため、オープンから半年後にしゃぶしゃぶと焼肉の両輪稼働に切り替えた。一部の一品料理を除き、しゃぶしゃぶと焼肉ではメニュー内容がすべて異なることから、端末の色で専用機を区別。しゃぶしゃぶ用は白、焼肉用は黒の端末を採用し、メニュー内容をそれぞれで分けた活用方法を採用する。
例えば松山空港通店は、IHコンロを組み込んだしゃぶしゃぶ用のテーブル席、ロースター付の焼肉用テーブル席とエリアを分断。一方、一部のテーブル席は、両方に対応できるフリー席として使用する。お客さまのオーダーに合わせた「メニウくん」をすぐに用意するためにも、色分けが役立っている。
また家族利用が多いことから、子供が楽しめるコンテンツも活用。知育アニメを入れることで、大人がゆっくりと食事ができるように配慮する。
「お子さまが『メニウくん』のコンテンツで遊ぶことで、過剰なオーダーの防止にもつながっています」と、意外な効果も発揮している。
業界の地位向上にむけて
IT化が飲食業界におよぼす影響について曽我部氏は「飲食店で働くということは、お客さまの命をつなぐこと。なのに、時給1000円前後は安いと思っています。セルフオーダーシステムは企業のコスト削減の大きな武器となるため、その分を給与アップや福利厚生の充実などにあて、業界全体の地位向上につなげていきたい」と話した。